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2011年 09月 27日
「わずかな 回想」
エリュノァ・ドュ・シャ 34歳 女性 歴史小説家 ここにあるのは 亡骸 ではなく 単なる 物体だと 思う 人が 死んだ そのあとに 残る 物体 かつて精神 あるいは それよりいくぶん複雑で 不明瞭で 捉えがたい 正体不明な 何ものかの 入れ物であった 肉体 その終の姿 私が 愛した男 ドニ・セルヴァンティス・ドュ・オック の なれの 果て こういう話し方を お赦しいただきたい 職業柄ということは あるが 元来 私は こういう 質なのだ ドニの時間 ドニが吸い込んだ もの ドニの涙 も ドニの笑顔 も ドニの憂いも ドニの悲しみも ドニの思考癖も ドニの苦悩も ドニの愛 さえも それらは すべて ドニ 自らが選んだ 死により 担保され 不問とされた 思い返せば こんな事態を 私は以前から 予感していた ドニの中の 埋められない空虚 ドニの中の 消し去れない闇 ドニの中の 再生されることない 瓦礫 食事をしていても 腕を組んでリュクサンブール を 歩いていても ベッドで 婚っている時も タヒチのビーチで 星屑 を眺めている時も それは 揺ぎ無く 確実に そこに あり 私を ずいぶん 不安にさせた これから先 様々な ことを 少しずつ思い出すたび 私は ドニの中にあったものを 再び実感する ことになるだろう そうして 同じような類の ものを 自分の中に養ってゆくのだ 差はあるだろうが ヒトは 見かけよりも 不幸だと信じる 持ち堪えられる 準備をしなければ
by urahitsuji
| 2011-09-27 12:38
| ひとびと その 内緒話
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