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2012年 03月 05日
「神を 屠る 系譜」
モンパルナス墓地に 眠る 男性 フランス人 我々の 系譜 我々の仕事 は 啓蒙 であり 解放 であった そのことは ある意味「神を 屠り 父を殺す」ことで 為されてきた と 言っても過言ではない あの イカれた ドイツ男 も そうであったし とりすました デンマーク人もそうであった 熱帯雨林へと 旅だった 彼もそうだ 無神論 などは副産物にすぎぬ 我らは 神から押し付けられた「真理」「本質」からの 解放を謳った のだ 「本質」は元々在るものではなく 我々の行動が示すということを 説いたのだ けれど 敢て それらの立場を踏まえた上で 近頃 実は「神」あるいは「神のごときもの」が必要ではないのかと 懐疑的になったりする 「神」 は人が 創りだした 観念 いや 仕組みである それは ある種の 道具や 経済のシステムと 同様 必要とされて 創出されたのだ 偶像としてのそれ を認められない だが 「神」はいてくれた方が 便利 なのかも しれない J.P.S #
by urahitsuji
| 2012-03-05 06:30
| ひとびと その 内緒話
2012年 02月 22日
「エスキース 老女 アリア 1」
めざめた時 わたくしは 見たこともない建物の内部の 窓辺に近い寝台に 寝かされておりました 後後に なって それが マンションという 住宅であると 知るのですが わたくしに とって 木造以外の建物に人が 住まいするなど 考えも及ばない ことでございましたものですから ただただ 奇異で 恐ろしいばかりで ござい ました また わたくしの 兄の娘だという 初老の女性と その家族たちが 確かに日本語を 流暢に話し わたくしの家族について とても詳しい知識を 有していたのですが その 装いが 余りにも わたくしの知る 日本人のそれとは大きく かけ離れておりましたので たいへんな不安を 抱いたので ございます そう なのです わたくしは 永い時間 眠り続けて いたのでございます それは 1939年の晩夏 ある日の 午後で ございました 女学校から戻りました わたくしは 自室で繕いものをしておりました 階下では いちばん上の姉が コルドベルクのアリア を 弾いておりました そのピアノの音色に耳を傾けるうち わたくしは うとうとと 眠気に誘われてしまったのでございます たしかに 姉は ピアニストを目指す ほどの腕前でございまして いつも家中に心地よい ピアノの旋律が 響いていたので ございますが それまで 彼女の演奏を聴いていて 抗えないほどの眠気に見舞われたことなど 一度たりと ございませんでした けれど この時 その曲のアリアの旋律が わたくしの中に 入りこみ 何かの 相当に強い作用を及ぼしたようで まるで 現実の世界から 引き剥がされ どこか 得体の知れない 異世界 へと連れ出された ように 眠りへと 誘われたのでございました 眠り と申しましても それが本当に睡眠状態であったのか 否か どちらかと 申せば それは「停止」 に近い状況で あったのでは と考えたりも いたします なぜなら その 永い眠りの間 ずっと わたくしには 微弱ではございましたが 意識が あり それは ずっと ずっとずっと 姉の弾く コルドベルクのアリアの旋律を 追いかけ とらまえ 共鳴し 共振し 掌からあえて 放ち また再び 追いかけては とらまえ を 際限なく 繰り返していたのでございます ですが それよりも 「停止」であった 確たる証拠 それは わたくし 自身が 2012年の 今日にあっても 眠り に入った73年前の 16歳当時のままの姿で 存在していることに ほかなりません #
by urahitsuji
| 2012-02-22 03:40
| ひとびと その 内緒話
2012年 02月 16日
「なぜ 殺すのか なぜ 殺せない のか」
傭兵 スナイパー 男 41歳 退役後 彼は アルコール中毒に 陥るが 治療の甲斐あって 依存から 抜けだすことができた そして 再び 戦場に舞い戻る 今度は 傭兵として その日の 午後 彼は 戦場でしてはいけないことを しでかしてしまう 敵を 殺す それ以外のことについて 思いを馳せる 命とりになる 行為だ ゆっくり トリガーを ひく 弾丸が 意志を持ち 定められた線上を 躊躇なく 飛び 敵? 相手の頭部を射抜く 近頃 では 急所を 外すことはない 外せば 厄介なことになる 相手は 相当に 苦しむだろう 一発で 仕留める 知らないうちに 死んでいる それが 最も優先される任務 かもしれない 十代の頃 まだ 正規の 軍人になる前の 話 「人は なぜ 殺すのか」あるいは 逆に 「人は なぜ 殺せないのか」ということに ついて 考えを 巡らせていた 時期が ある ちょうど 街で 罪もない人が なぶり殺しの目に遭う 騒動が頻発した時期だ 怒りや恨みや悲しみの感情に突き動かされ それとも 衝動的に 殺意を抱き いざ その瞬間を 迎えた時 自分には 殺すことができるのだろうかと 想像してみた できるはずは ない と その時は 思った 人 どころか 犬や猫ですら 自分には 殺せないと 思った それは おそらく それまで 自分が 誰かから 愛されてきたからだろうな と 想像できた 家族や友人 知人 程度の差こそあれ 彼らが与えてくれた 愛情が 蛮行を押しとどめて くれるのだと考えた ところが 今はどうだ 私は 敵? というだけで たくさんの見知らぬ人間を殺し それを生きる糧としている 「戦争 だから」? いや 違うかもしれない あれだけ 多くの かけがえのない 愛情を もらって おきながら・・・・・・・・ スナイパーは 息を引き取った 彼は 自分が 死んだことを しらないだろう #
by urahitsuji
| 2012-02-16 07:12
| ひとびと その 内緒話
2011年 12月 31日
「さよなら 2011」
男性 49歳 さよなら さよなら と いくら いくら 言っても 言い足りない 2011年 さよなら さよなら いいたいわけでは ないのだろうけれど さよなら の 年 個人的には この年 だけではなく ここ数年 ありがたいことに 沢山の人 と 出会い 言葉を交わし 楽しい時間を重ねることが できているのだけれど 大切なこと 大事なことを ゆっくり 時間を費やして 向かい合って 話し合っていないような 感じがする 記憶違い でなければ よいのだが どうやら そうでは ないらしい #
by urahitsuji
| 2011-12-31 10:45
| ひとびと その 内緒話
2011年 10月 28日
「川口 の おばちゃん」
男性 49歳 裏ひつじ 西条凡児さんの声色で お読みくださいませ・・・イントネーション要注意の 事 八つになる頃まで 母方の 祖父母と ともに暮らしておりました 古―い ええ感じの 木造の家でございました それでも 便所 行くのがこわーて いつも誰かに付き添ってもらってたと 記憶しとりますはい 時折その家に きれいな和服のを着こなした ええ感じの おばちゃんが たずねてまいります 子供のわたくしから見ましても 見たことないような どこにもおらんような 独特の 美しさを湛えた おばちゃんでございました それでこのおばちゃん わたくしを よう 可愛いがってくれはりました また ええにおいが するんですわ おばちゃんに 名前 よんでもうて お菓子 もうて おつむ 撫でられるたび わたくし はい 夢見心地で ございました またある時 それは夏の盛り おばちゃん の 家に遊びにそせてもうた時のことですけどぉ おばちゃんはチンチン電車の 松虫駅 の 近くに住んではりました 古くから大阪にある 小さな前栽のついた長屋で一人暮らし 祖母と母と わたくしと お昼よばれて しゃべって おやつもよばれて 夕刻になりますと おばちゃんが 仕事に出かけるとのこと 土間に置かれた大きな木のたらいにお湯入れて 水でうめて さらぁーと 浴布脱ぎはって 行水をはじはります ゆったりと やわら背中の曲線に お湯がかけられ その線を這うように滴り落ち次には 手拭いが そっと肩のあたりを 拭います いくどか その繰り返し 御簾のついたごしに その姿と 所作が浮かび上がって おります 子供のわたくしでも なーんや 妙な気分 とはいえ 美しいものを眺めているような 不思議な 気持ちに なりました だいぶあとに なってから 聞いたはなしですけど 川口のおばちゃんは 芸者さんで 母方の大叔父の おてかけはん やった らしいです 大叔父が 商売で一発あて 東京に移ったあとも その妹である 祖母やその娘と親交があったらしのです 昨年 母から 川口のおばちゃん が 亡くなったと聞きました 身寄りのない おばちゃんは 「最期にアンタに会いたい」と 母に電話をよこした ようです ええあじ の もんが またひとつ 消えてしまったような気がして 寂しく思いました #
by urahitsuji
| 2011-10-28 05:37
| ひとびと その 内緒話
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